家に帰ってきたら、即机に向かい学校の宿題を済ませる。宿題が終わった後は、夕食の準備を手伝うと同時にお風呂を沸かし、夕食後、1時間ほど家族と一緒にテレビを見た後は、風呂に入ってもう一度机にむかい明日の塾の予習と復習。もちろん成績優秀、部活動でも中心選手として活躍、生徒会の役員もつとめ友人からの信頼も厚い。親孝行で兄弟姉妹にも優しい。
このような子いかかですか?
ぜひうちの子どももそうなって欲しいと思われますか?
小説『流星ワゴン』(著者 重松清 講談社文庫)では、家庭ではいわゆる完璧な夫が、完璧ゆえに妻が距離をとっていく姿が描かれています。常に妻と子どものことを考えいつも優しく家庭を最優先に、食器の片付けが大変だろうと、勝手に食器洗浄機を買ってくる、経済的な心配をかけさせないために毎月の支払いをすべて夫が行い、妻に迷惑がかかるからと同僚を家に呼ぶこともない。そんな夫から妻は離れていきます。
理由は、『完璧だから』でした。
人は他人に完璧を求めることがあります。身近な存在ほどそうしてしまうことが多いのではないでしょうか。もし現実に完璧な存在であったとしたならば、その人の魅力は完璧を理由に減少することもあるのです。
実は人の魅力は凸凹の中に輝きがあるのだと思います。レゴでの製作も、造形面は苦手でもすごく高度な仕組みが作れることも魅力的ですし、仕組み系はあんまり好きではないけどデザインにはとことんこだわる子もいます。そんな一人ひとりの違いに人は惹かれていくのです。
受験を始めとしバランスの良さを子どもを評価する基準にしがちな世の中である気がします。もちろんバランスが良いことも素晴らしいことです。でも、バランス良くさせなきゃと過剰に思うことよりも、子ども一人ひとりの長所も短所も受け止め、輝けるところをより輝かせてあげる、そうした意識で大人が接することの方がもっと大切な気がします。
「普通と言われる人生を送る人間なんて、一人としていやしない。いたらお目にかかりたいものだ。」(アインシュタイン)